おひとりさまの終活では、財産のことだけでなく、入院時の連絡先、葬儀、納骨、住まいの片付け、役所手続きまで考える必要があります。子どもがいない人、親族と疎遠な人、家族に迷惑をかけたくない人ほど、元気なうちの準備が大切です。

おひとりさま終活で不安になりやすい場面

一人暮らしであっても、日常生活が自立しているうちは大きな不便を感じないかもしれません。しかし、入院や介護施設への入居、死亡後の手続きでは、本人だけでは対応できない場面が出てきます。

たとえば、入院時には緊急連絡先を求められることがあります。施設入居では身元引受人や保証人を求められることがあります。亡くなった後は、死亡届、葬儀、火葬、納骨、公共料金の解約、家財整理などを誰かが行う必要があります。

こうした手続きは、本人が亡くなった後には自分で進められません。そのため、生前に「誰に、何を、どこまで任せるのか」を決めておくことが終活の中心になります。

お墓をどうするか決めておく

おひとりさま終活で最初に考えたいのが、お墓の問題です。先祖代々のお墓がある場合、自分の代で管理が途切れる可能性があります。遠方にお墓がある、掃除や法要に行けない、承継する人がいないという場合は、墓じまいも選択肢になります。

墓じまいをする場合は、墓石撤去費、閉眼供養、離檀料、改葬先の費用、改葬許可申請などを整理する必要があります。今のお墓を片付けた後、自分自身の遺骨をどこへ納めるのかもあわせて決めておくと安心です。

永代供養や納骨堂を検討する

承継者がいない場合、永代供養墓、納骨堂、樹木葬などが候補になります。管理を寺院や霊園に任せられるため、家族にお墓を守ってもらう前提を置かずに済みます。

ただし、永代供養といっても、合祀型、個別安置型、一定期間後に合祀される型などがあります。費用だけでなく、納骨後に名前が残るのか、お参りできる場所があるのか、年間管理費が必要かも確認しましょう。

葬儀の希望を具体的に残す

葬儀については「質素でよい」とだけ残しても、実際に手配する人は迷います。家族葬にするのか、直葬にするのか、宗教者を呼ぶのか、誰に連絡するのか、遺影写真はどれを使うのかまで決めておくと、死後事務を担う人が動きやすくなります。

葬儀費用をどこから出すのかも大切です。預貯金があっても、死亡後すぐに口座が使えなくなる可能性があります。葬儀費用を預ける契約をする場合は、預託金の管理方法や返金条件を必ず確認しましょう。

死後手続きを誰に任せるか

おひとりさまにとって、死後手続きの担い手を決めることは非常に重要です。親族がいても遠方に住んでいる場合や、長年連絡を取っていない場合、いざという時に頼めるとは限りません。

死後事務委任契約を利用すれば、葬儀、火葬、納骨、役所関係の手続き、公共料金の解約、住まいの片付けなどを第三者に依頼できる場合があります。契約内容は事業者によって異なるため、対応範囲を細かく確認する必要があります。

財産の行き先は遺言で決める

死後事務委任契約は、死後の実務を依頼するものです。財産を誰に渡すかは、遺言で決める必要があります。預貯金、不動産、保険、有価証券などがある場合は、遺言と死後事務を分けて準備しましょう。

また、認知症などで判断能力が低下した場合に備えるなら、任意後見や財産管理の仕組みも検討対象になります。おひとりさま終活では、生前の支援、死後の手続き、財産承継を別々に整理することが大切です。

身元保証も早めに考える

終活というと死後の準備に意識が向きますが、生前の入院や施設入居でも困ることがあります。近くに頼れる家族がいない場合、緊急連絡先や身元保証人をどうするかが問題になります。

身元保証サービスでは、入院や施設入居時の保証、緊急時の連絡、生活支援、死後事務を組み合わせて提供することがあります。自分に必要なのが身元保証なのか、見守りなのか、死後事務なのかを切り分けて検討しましょう。

契約書と連絡先を見える形にしておく

終活の準備をしていても、契約書や連絡先が見つからなければ意味がありません。葬儀社、納骨先、身元保証サービス、死後事務の契約先、かかりつけ医、保険、銀行口座などの情報は、信頼できる人や契約先が確認できる形で残しておきましょう。

スマートフォンやパソコンの中だけに保存していると、死後に確認できないことがあります。紙の一覧を作る、専門家に保管してもらう、契約先に緊急連絡先を登録するなど、実際に使える状態にしておくことが必要です。

おひとりさまの終活は、不安を大きくするための作業ではありません。自分の希望を形にし、周囲の負担を減らすための準備です。お墓、葬儀、身元保証、死後事務を早めに整理しておくことで、これからの生活にも安心感を持ちやすくなります。

出典:いいお墓法務省消費者庁