不動産売却査定を受けると、複数の不動産会社から査定額を提示されることがあります。そのとき、もっとも高い査定額を出した会社に頼みたくなる人は多いでしょう。
しかし、不動産売却では「高い査定額=よい会社」とは限りません。査定額はあくまで売却価格の目安であり、その金額で必ず売れることを保証するものではないからです。
大切なのは、査定額の高さだけでなく、根拠、販売戦略、担当者の説明、売却までの流れを確認することです。
査定額と成約価格は同じではない
まず知っておきたいのは、査定額と成約価格は別物だということです。
査定額は、不動産会社が周辺相場や物件条件をもとに「このくらいで売れる可能性がある」と考えて提示する価格です。一方、成約価格は、実際に買主と売主が合意して売買が成立した価格です。
査定額が高くても、買主がその金額で納得しなければ売却は成立しません。逆に、査定額より低い価格で売れることもあれば、需要が強いエリアでは想定より高く売れることもあります。
そのため、査定額は参考情報として見ながら、実際に売れる可能性のある価格かどうかを冷静に判断する必要があります。
高すぎる査定額には注意が必要
複数社に住宅査定を依頼すると、1社だけ極端に高い査定額を出すことがあります。もちろん、その会社が特別な販売ルートを持っている可能性もあります。
しかし、根拠があいまいな高い査定額には注意が必要です。売却依頼を受けるために、あえて高めの査定額を提示するケースも考えられるからです。
高い価格で売り出したものの、問い合わせが少なく、数か月後に値下げを繰り返すことになると、買主から「長く売れ残っている物件」と見られる可能性があります。
高い査定額を提示されたときは、「なぜその価格で売れると考えるのか」「近隣で似た物件はいくらで成約しているのか」「売れなかった場合はどうするのか」を確認しましょう。
売出価格の決め方も重要
不動産売却では、査定額をもとに売出価格を決めます。売出価格とは、広告や不動産サイトに掲載する価格のことです。
売出価格を高く設定すれば、希望に近い価格で売れる可能性はあります。ただし、高すぎると買主の候補から外れてしまうことがあります。
一方、安すぎる価格で売り出すと、早く売れる可能性はありますが、本来得られたはずの売却代金を逃してしまうかもしれません。
売出価格は、売却希望額、周辺相場、売却期限、物件の強みを踏まえて決めることが大切です。不動産会社には、価格設定の考え方を具体的に説明してもらいましょう。
媒介契約の種類を理解しておく
不動産会社に売却を依頼する場合、媒介契約を結びます。媒介契約には種類があり、売却活動の進め方や他社への依頼可否が変わります。
初めて不動産売却をする人にとって、媒介契約はわかりにくい部分です。だからこそ、契約前に内容をしっかり確認する必要があります。
「他の不動産会社にも依頼できるのか」「自分で買主を見つけた場合はどうなるのか」「売却活動の報告はどのくらいの頻度で受けられるのか」などを確認しておくと安心です。
査定額だけでなく、契約条件や売却活動の進め方まで理解してから依頼先を選びましょう。
担当者の説明力も大切
不動産売却は、査定を受けて終わりではありません。売出価格の決定、広告掲載、内覧対応、価格交渉、契約、引き渡しまで、さまざまな手続きがあります。
そのため、担当者との相性や説明力は重要です。専門用語ばかりで説明する担当者よりも、初心者にもわかる言葉で丁寧に説明してくれる担当者のほうが安心です。
また、都合の悪いことも正直に伝えてくれるかどうかも見たいところです。売却に有利な点だけでなく、売れにくい理由や価格調整の可能性も説明してくれる担当者は信頼しやすいでしょう。
販売戦略を確認する
不動産会社を選ぶときは、販売戦略も確認しましょう。
- どの不動産情報サイトに掲載するのか
- 既存の購入希望者へ紹介できるのか
- 広告写真や紹介文に力を入れてくれるのか
- 内覧希望者への対応はどうするのか
- 売れなかった場合の価格見直しはどう考えるのか
同じ査定額でも、販売戦略が弱ければ売却まで時間がかかる可能性があります。逆に、査定額が少し低くても、現実的な販売計画を持っている会社のほうが、結果的に納得できる売却につながることもあります。
複数社を比べると見えてくること
1社だけに査定を依頼すると、その会社の説明が正しいのか判断しにくくなります。複数社に査定を依頼すると、査定額の幅、説明の違い、販売方針の違いが見えてきます。
たとえば、ある会社は「早期売却」を重視し、別の会社は「時間をかけて高値を狙う」提案をするかもしれません。どちらがよいかは、売主の事情によって変わります。
急いで現金化したい人と、時間をかけても高く売りたい人では、選ぶべき会社や販売方法が違います。複数社の不動産査定を比較することで、自分に合う進め方を選びやすくなります。
査定額の高さより納得感を重視する
不動産売却は、人生の中でも大きなお金が動く場面です。だからこそ、査定額の高さだけで決めるのではなく、納得できる説明があるかを重視しましょう。
自宅の価値を知ることは、老後資金や住み替え、相続を考えるうえでも大切です。ただし、査定額を見てすぐに判断するのではなく、複数社の提案を比べながら冷静に進めることが重要です。
高い査定額に安心するのではなく、その金額で売れる根拠を確認する。これが、不動産売却で後悔しないための大切なポイントです。
出典:SUUMO 不動産一括査定サイトとは/公益財団法人 不動産流通推進センター 価格査定マニュアル/不動産取引情報提供サイト





