貯金1,000万円でも安心とは限らない理由

貯金が多い人ほど、お金を減らしたくないという気持ちが強くなりやすいものです。そのため、投資や株式という言葉に不安を感じ、預金のままにしておく人も少なくありません。ただ、預金は元本が守られやすい一方で、物価上昇に弱い面があります。

物価が上がるとお金の価値は下がる

たとえば、同じ1万円でも、数年前より買える食品や日用品の量が減ったと感じる場面は増えています。これは、手元のお金の金額が変わらなくても、物価が上がることで実質的な購買力が下がるためです。

1,000万円を預金で持っていても、将来の生活費、医療費、住居費、介護費などが上がれば、思っていたほど長く使えない可能性があります。貯金がある人ほど、金額だけでなく、お金の価値をどう守るかを考える必要があります。

預金は安心だが増やす力は弱い

預金は、急な出費に備えるうえで欠かせません。生活費の数カ月分、近い将来使う予定のあるお金、税金や保険料の支払いに充てるお金は、すぐに引き出せる形で残しておくべきです。

一方で、10年以上使う予定のないお金まで預金だけに置いておくと、増やす機会を逃すことがあります。貯金1,000万円がある人ほど、すべてを守るお金として扱うのではなく、目的別に分けることが大切です。

お金を置いたままにしない人の考え方

お金の管理が上手な人は、貯金を否定しているわけではありません。むしろ、生活に必要な現金をきちんと確保したうえで、当面使わないお金については別の置き場所を検討しています。

使う時期でお金を分ける

まず考えたいのは、お金を使う時期です。1年以内に使うお金、数年以内に使うお金、10年以上使わない可能性が高いお金では、適した置き場所が異なります。

近く使うお金は預金で持つのが基本です。一方で、長期的に使わないお金は、投資信託、株式、債券などの金融商品を検討する余地があります。株主優待を目的にした株式投資も、その選択肢の一つです。

一度に大きく動かさない

貯金がある人が投資を始めるときに避けたいのは、一度に大きな金額を動かすことです。株式や投資信託は値動きがあり、買った直後に価格が下がることもあります。

最初は少額から始め、値動きに慣れることが大切です。毎月一定額を積み立てる、複数の銘柄や商品に分ける、生活費とは別のお金で運用するなど、リスクを抑える考え方を持つことで、無理なく続けやすくなります。

株主優待は生活に近い投資の入り口になる

株式投資と聞くと、株価の上がり下がりで利益を狙うものという印象を持つ人もいます。しかし、株式を保有することで得られるものは、値上がり益だけではありません。企業によっては、配当金や株主優待を受け取れる場合があります。

株主優待とは何か

株主優待とは、企業が一定の条件を満たした株主に対して、自社商品、買い物券、食事券、割引券、カタログギフトなどを提供する制度です。すべての上場企業が実施しているわけではありませんが、日常生活に役立つ優待を用意している企業もあります。

たとえば、外食、スーパー、ドラッグストア、日用品、交通、レジャーなどに関係する優待は、家計の負担軽減につながることがあります。現金として増えるわけではなくても、普段の支出を抑える効果を期待できる点が特徴です。

優待だけで選ぶと失敗しやすい

ただし、株主優待が魅力的だからといって、その銘柄をすぐに買うのは注意が必要です。株価が大きく下がれば、優待でもらえる金額以上の損失が出ることがあります。また、株主優待は企業の判断で変更・廃止される可能性もあります。

優待を重視する場合でも、企業の業績、配当、株価水準、最低投資金額、権利確定月、長期保有条件などを確認することが大切です。優待は投資判断の一部であり、優待だけを目的に選ぶべきではありません。