半導体株への投資を検討するとき、多くの人が気になるのが「今後も成長するのか」という点です。生成AIの普及を背景に半導体企業の業績や株価が注目される一方で、すでに株価が上がりすぎているのではないかという不安もあります。
半導体はAIだけでなく、データセンター、自動車、産業機器、通信設備、家電などにも使われています。ただし、半導体市場全体が成長しても、すべての企業の株価が上昇するとは限りません。
今後の半導体株を考えるには、市場の成長分野と、株価を押し下げる要因の両方を見る必要があります。
世界の半導体市場は拡大が予測されている
世界の半導体市場は、生成AI向けのロジック半導体や高性能メモリーを中心に拡大が見込まれています。スマートフォンやパソコン向け需要だけでなく、大規模なデータセンターへの設備投資が市場を支える要因になっています。
WSTSは、2026年の世界半導体市場が前年比25%超の成長となり、市場規模が9,750億ドルに達するとの見通しを公表しました。ロジック半導体とメモリー半導体が成長をけん引すると予測されています。※1
ただし、市場予測は将来の需要や価格を前提にしたものであり、そのとおりになるとは限りません。景気後退、設備投資の減少、製品価格の下落などによって、予測が引き下げられることもあります。
ロジック半導体の需要が増える理由
ロジック半導体は、計算や制御を行う半導体です。生成AIの学習や推論では、膨大なデータを短時間で処理する必要があるため、高性能なGPUやAIアクセラレーターが使われます。
AIサービスの利用者が増えると、サービスを提供する企業はサーバーを追加し、データセンターの処理能力を拡大します。その結果、AI向け半導体だけでなく、通信、電源管理、データ保存などに使われる周辺半導体にも需要が広がる可能性があります。
メモリー半導体にもAI需要が波及する
AIサーバーでは、計算を担当する半導体だけでなく、大量のデータを高速で受け渡すメモリーも重要です。特に、高い転送速度を持つHBMは、AI半導体の性能を引き出すために使われます。
メモリー半導体は、需給の変化によって価格が大きく動きやすい分野です。需要が強い時期には価格上昇が利益を押し上げますが、各社が増産すると供給過剰になり、製品価格が下落する可能性があります。
AI需要が長期的に伸びるとしても、メモリー企業の利益が毎年安定して増えるとは限りません。
データセンター投資は装置・材料企業にも影響する
AI向け半導体の需要が増えると、半導体メーカーは生産能力を増やすため、工場や製造装置へ投資します。そのため、半導体そのものを販売する企業だけでなく、製造装置や材料を供給する企業にも成長機会が生まれます。
先端半導体には高度な製造装置が必要
半導体の回路を細かくし、処理性能や省電力性能を高めるには、高度な製造装置が必要です。成膜、露光、エッチング、洗浄、検査など、多くの工程で専用装置が使われます。
SEMIは、世界の半導体製造装置販売額が2026年に1,659億ドルへ達し、前年比23.2%増加するとの見通しを示しています。※2 AI関連の設備投資に加え、メモリーや先端ロジック向けの投資が市場を支えるとみられています。
ただし、装置企業の受注は半導体メーカーの設備投資計画に左右されます。顧客が新工場の建設を延期した場合、半導体の最終需要が伸びていても装置受注が減る可能性があります。
材料の高性能化も求められる
回路が微細になるほど、シリコンウエハー、フォトレジスト、ガス、研磨材などの品質が製造歩留まりに影響します。先端半導体を安定して量産するには、不純物や表面の欠陥を抑えた材料が必要です。
材料企業は、半導体メーカーの認証を得るまでに長い期間を要する場合があります。一度採用された材料が簡単には変更されにくいことは強みになり得ますが、顧客や製品への依存が高い場合は注意が必要です。





