AI以外にも半導体需要を支える分野がある
半導体市場の成長をAIだけで説明すると、特定分野の一時的な好調を市場全体の成長と誤認する可能性があります。自動車、産業機器、通信、電力制御などにも、異なる種類の半導体需要があります。
自動車の電子化と電動化
自動車には、エンジンやモーターの制御、運転支援、車内通信、カメラ、センサー、電源管理など、多くの用途で半導体が使われます。
電気自動車では、バッテリーの電力を効率よく変換するためにパワー半導体が必要です。運転支援機能が高度になると、画像処理用の半導体やセンサー、マイコンなどの需要も増える可能性があります。
ただし、自動車販売が低迷した場合や、電気自動車への移行ペースが鈍化した場合は、関連企業の業績予想が引き下げられることがあります。
工場自動化とロボット
製造現場では、人手不足への対応や生産効率の改善を目的として、ロボット、センサー、制御装置の導入が進められています。
産業機器では、最先端の微細化技術だけでなく、耐久性や長期間の安定供給が重視されます。そのため、AI向け半導体とは異なる企業が競争力を持つ場合があります。
半導体投資では、「先端品を作っている会社だけが成長企業」と決めつけず、需要先と製品特性を確認することが重要です。
通信設備とエッジAI
すべてのデータを遠くのデータセンターへ送るのではなく、工場、自動車、店舗、スマートフォンなどの機器側で処理する仕組みをエッジAIと呼びます。
機器側で処理すれば、通信の遅延を抑え、送信するデータ量を減らせます。エッジAIが広がると、高性能なAIサーバー向けとは異なる、省電力で小型の半導体需要が生まれる可能性があります。
日本の半導体関連企業にも成長機会がある
世界の先端半導体では海外企業が目立ちますが、日本企業は製造装置、検査装置、シリコンウエハー、化学材料、パワー半導体などで事業を展開しています。
経済産業省は、AIと半導体を経済安全保障や産業競争力の観点から重要分野と位置付け、国内の製造基盤強化を進めています。2026年にはRapidusへ1,000億円を出資する方針も示されました。※3
国内工場への投資が増えれば、建設、装置、材料、保守など幅広い企業に需要が及ぶ可能性があります。一方、政府支援があることだけで、事業の採算性や株価上昇が保証されるわけではありません。
国内生産の強化には時間がかかる
半導体工場は、建設して終わりではありません。量産技術の確立、顧客の獲得、人材の育成、歩留まりの改善などが必要です。
予定より量産開始が遅れたり、製造コストが高くなったりすれば、当初計画どおりの利益を得られないことがあります。政策テーマに関連する銘柄を選ぶ場合も、実際の受注や利益につながっているかを確認する必要があります。
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