半導体産業のサプライチェーンを理解する

半導体関連企業を比較するときは、その会社が製造工程のどこで収益を得ているかを整理すると分かりやすくなります。大まかな流れは、設計、材料供給、前工程、後工程、検査、製品への搭載です。

前工程ではウエハーに回路を形成する

前工程では、シリコンウエハーの上に薄膜を作り、光を使って回路の形を転写し、不要な部分を削ります。こうした工程を何度も繰り返すことで、複雑な回路を形成します。

回路の微細化が進むと、製造に必要な装置や材料の性能も高くなります。新しい製造技術への移行が、装置企業や材料企業の成長機会になる場合があります。

後工程では切断・組立・接続を行う

回路を形成したウエハーは、個々のチップに切り分けられ、外部の電子部品と接続できるように加工されます。この工程を後工程と呼びます。

従来は、前工程の微細化が半導体性能を高める中心的な方法でした。しかし、製造技術が高度になるにつれて、複数のチップを一つの製品として組み合わせる先端パッケージ技術も重視されています。

そのため、切断、研削、接合、検査などを担う企業も、AI半導体関連株として注目されることがあります。

半導体株の株価は何によって動くのか

半導体株の値動きは、現在の業績だけでなく、数か月先から数年先の需要予想にも左右されます。業績が伸びている企業でも、将来への期待が弱まれば株価が下がることがあります。

製品需要と在庫の増減

スマートフォン、パソコン、自動車、サーバーなどの販売が伸びると、搭載される半導体の需要も増えやすくなります。一方、完成品メーカーが過剰な在庫を抱えると、新たな半導体の発注が減ることがあります。

半導体業界では、需要増加、増産、供給過剰、在庫調整、需要回復という循環が起こることがあります。この景気循環は、シリコンサイクルと呼ばれます。

企業の決算と将来見通し

決算では、売上高や利益だけでなく、企業が示す今後の業績見通しが重要です。市場が高い成長を期待している場合、増収増益でも予想を下回ったとして株価が下がることがあります。

装置企業では受注高、半導体メーカーでは在庫や工場稼働率、設計企業では新製品の競争力など、業態によって見るべき数字が異なります。

為替や輸出規制

半導体産業は国際的な分業で成り立っています。設計は米国、製造はアジア、装置や材料は日本や欧米というように、複数の国や地域が関わります。

そのため、為替相場、輸出規制、関税、地域間の対立、自然災害などが企業業績に影響します。売上が海外に偏る日本企業では、円安が利益を押し上げる場合がある一方、円高が業績の重荷になる可能性があります。

半導体株へ投資する4つの方法

半導体株への投資方法は、国内の個別株だけではありません。米国株、ETF、投資信託を利用する方法もあり、それぞれ必要な知識や分散の範囲が異なります。

  • 国内個別株:円で売買しやすく、日本語の決算資料を確認しやすい
  • 米国個別株:世界的な半導体企業へ直接投資できるが、為替変動を受ける
  • 半導体ETF:複数の関連企業へまとめて投資できる
  • 半導体投資信託:少額の積立に対応する商品がある

個別株は、選んだ企業が大きく成長した場合に高い収益を得られる可能性があります。一方、その企業の競争力が落ちれば大きな損失につながります。

ETFや投資信託は複数銘柄へ投資できますが、半導体業界全体が下落すれば基準価額も下がります。「複数銘柄に分かれていること」と「複数業種に分散されていること」は区別して考える必要があります。

半導体株を選ぶときは、知名度や株価上昇率だけを見るのではなく、設計、製造、装置、材料のどこに属する企業なのかを確認しましょう。そのうえで、需要先、競争力、業績変動の大きさを比較することが、銘柄選びの第一歩になります。