PER・PBRで株価水準を確認する

良い企業でも、株価が企業価値に対して高すぎれば、期待した収益を得られない可能性があります。株価水準を比較する代表的な指標として、PERとPBRがあります。

PERは利益に対する株価を見る指標

PERは、株価が一株当たり利益の何倍になっているかを示す指標です。一般的には、次の式で計算します。

PER=株価÷一株当たり利益

PERが高い企業は、投資家から将来の利益成長を期待されている可能性があります。一方、期待が外れた場合は株価が大きく下落することがあります。

半導体企業同士を比べる場合も、事業領域や成長率が異なる企業のPERを単純に比較することはできません。過去のPER、同業他社、利益成長率などと組み合わせて見ます。

半導体株は利益のピークでPERが低く見えることがある

半導体市況が好調な時期には企業利益が大きく増え、計算上のPERが低くなることがあります。しかし、その利益が市況のピークで、翌年に減益へ転じれば、実際には割安でなかったことになります。

反対に、市況悪化によって利益が一時的に減少すると、PERが高く見える場合があります。PERの高低だけでなく、現在の利益が半導体サイクルのどの位置にあるかを考えます。

PBRは純資産に対する株価を見る指標

PBRは、株価が一株当たり純資産の何倍になっているかを示す指標です。

PBR=株価÷一株当たり純資産

PBRが低い企業が必ず割安とは限りません。保有する工場や設備が十分な利益を生み出していない場合や、将来の成長を期待されていない場合にもPBRは低くなります。

東京証券取引所も、PERやPBRなどの市場評価指標について、時間の経過や同業他社との比較を含めて分析することを示しています。※1

半導体株を比較するためのチェック表

企業分析では、一つの数字だけで結論を出さず、事業、決算、競争力、株価水準を組み合わせます。次のような項目を銘柄ごとに整理すると比較しやすくなります。

確認項目見る内容
事業領域設計、製造、装置、検査、材料のどこに属するか
需要先AI、自動車、スマートフォンなど、どこへの依存が高いか
売上・利益増収だけでなく利益率も改善しているか
受注・在庫将来の売上鈍化を示す変化がないか
競争力市場シェア、技術、顧客認証などの参入障壁があるか
財務設備投資を続けられる現金や自己資本があるか
株価水準PER・PBRが過去や同業他社と比べて高すぎないか
主なリスク顧客集中、輸出規制、為替、製品価格下落など

知名度や株価の勢いだけで選ばない

話題の半導体株は、短期間で株価が大きく上昇することがあります。しかし、上昇しているという理由だけで購入すると、成長期待が後退したときの下落に耐えられない可能性があります。

企業を選ぶ際は、まず何を販売している会社かを確認し、売上、利益率、受注、在庫、キャッシュフローを見ます。その後、競争力と株価水準を確認する順序が分かりやすいでしょう。

分析しても将来の株価を正確に予測することはできません。そのため、購入する企業を一社に絞りすぎず、投資時期や銘柄を分けることも重要です。

※1 東京証券取引所「Action to Implement Management that is Conscious of Cost of Capital and Stock Price」
https://www.jpx.co.jp/english/equities/follow-up/uorii50000004sse-att/uorii50000004tcv.pdf